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深谷 有喜; 河裾 厚男; 一宮 彪彦
no journal, ,
固体表面における表面プラズモン励起は、低速電子をプローブとした電子エネルギー損失分光を用いて行われることが多い。最近では、反射高速電子回折を用いて、高速の電子による表面プラズモン励起が調べられ始めている。一方、電子の反物質である陽電子による表面プラズモン励起の研究は行われていない。本研究では、理想的な自由電子系であるアルミニウム表面における陽電子エネルギー損失スペクトルを測定し、金属表面での表面プラズモンの励起過程について調べた。Al(111)-11単結晶表面から全反射した陽電子のエネルギー損失スペクトルには、弱い弾性散乱ピークに加え、約12eV間隔で現れる5つの明瞭なエネルギー損失ピークが観測できた。3回表面プラズモンを励起したピークが最も強く、ポアソン分布による解析の結果、陽電子による表面プラズモンの平均励起回数は約2.8回であることがわかった。この値は、Si(111)-77表面の場合の値に近く、Al表面における表面プラズモンの励起過程はSi(111)-77表面と同じであると考えられる。結果として、電子に比べると、陽電子は固体表面で表面プラズモンを多数励起していることがわかった。
江坂 文孝; 山本 博之; 鵜殿 治彦*; 松林 信行*; 山口 憲司; 社本 真一; 間柄 正明; 木村 貴海
no journal, ,
本研究では、放射光からのエネルギー可変X線を励起源とした高エネルギー光電子分光法(XPS)及びX線吸収分光法(XAS)を組合せることにより、固体最表面の化学状態を明らかにする方法について検討を行った。測定対象として相鉄シリサイド単結晶(組成FeSi)及び相鉄シリサイド単結晶(組成FeSi)を用いた。測定の結果、相単結晶はほぼ均質な構造であるものの、相単結晶中にはSi-rich及びFe-richである異なる二種類の構造が存在していることが明らかとなった。また、これらの構造の深さ方向での分布を調べたところ、相単結晶の場合は相単結晶に比べて表面近傍がFe-richであり、内部ではSi-richになることが明らかになった。この分析手法は、原子力用材料や燃料などを始めとする固体表面の状態分析に非常に有効な手段に成り得ると考えられる。
山崎 竜也; 山崎 大; 朝岡 秀人; 田口 富嗣; 社本 真一; 豊島 安健*
no journal, ,
高集積化が進むデバイステクノロジーには、新機能性材料の活用とともに、大きな格子不整合を克服できる新たなへテロエピタキシャル形成技術の開発が重要である。Si基板上にSrTiOを形成する際、そのテンプレートとなるSr層が、Si表面を水素終端しておくことにより、12%の格子不整合を克服してヘテロエピ成長することを既に報告した。その大きな格子不整合を克服させた、具体的な界面構造に関してさらに検討を行った。その構造の検討のための反射高速電子回折法(RHEED)による水素終端Si-H上のSr結晶成長過程のその場観察により、ヘテロエピ成長を実現させた界面は水素とSr単原子層で構成されていることを明らかにした。一方、多重内部反射赤外分光(MIR-FTIR)法による界面Si-H伸縮振動のその場観察を行ったところ、Srを約1原子層成長させるまでの段階でSi-Hの吸収が変化・消失し、水素が脱離した可能性が考えられる。そこで中性子反射率(NR)法を用い、Srエピ終了後の完全に埋もれた界面の構造、特に水素の有無の確認を試みた。そのNRプロファイルには明確な差異が認められ、埋もれた界面に存在するHとDの散乱長の違いに由来すると判断される。モデルを用いたフィッティングともおおむね整合しおり、重原子層を積層しているにも係わらず埋もれた界面での水素の存在が確認でき、水素がこのヘテロエピ界面の構成要素であることが明らかになった。
成田 あゆみ; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 平尾 法恵; 矢板 毅
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有機分子を酸化物表面に安定に固定化する方法について検討するため、炭素数が3のアルキル基の両端にシリコンアルコキシド基とチオール基を持つメルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTS, Si(OCH3)3-CH2-CH2-CH2-SH)分子と酸化アルミニウム基板の界面の化学結合状態を、X線光電子分光法(XPS)とX線吸収微細構造法(NEXAFS)で解析した。MPTS分子単層膜のSi1sXPSスペクトルから、MPTS分子のシリコンアルコキシドが酸化アルミニウム表面と化学結合を形成していることがわかった。また、単分子層のSiK吸収端NEXAFSスペクトルでは角度依存性が見られたことから、MPTS分子は酸化アルミニウム表面に対して垂直方向に配向していることがわかった。
高橋 良太*; 宮本 優*; 半田 浩之*; 齋藤 英司*; 今泉 京*; 吹留 博一*; 末光 眞希*; 寺岡 有殿; 吉越 章隆
no journal, ,
われわれはSi基板上に3C-SiC極薄膜をエピタキシャル成長させ、このSiC極薄膜を真空熱処理することによりグラフェンを形成することに成功した(グラフェン・オン・シリコン技術)。本研究ではGOS形成過程の解明を目的としてLEED及びXPSによる表面構造観察を行った。Si(111)上に形成した3C-SiC(111)薄膜のLEED観察ではバルクSiCの周期性を示す11パターンが確認された。グラフェン化処理(1523K,30分間加熱)後はグラフェン構造の周期性を示す11パターンが確認された。バルクSiC(11)に対してグラフェン(11)のスポットは30度回転している。グラフェン化処理前後のC1s-XPS観察では、グラフェン化処理後にsp結合に起因するピークが顕著になり、SiCバルクピークが減少することが確認された。本研究の結果、Si基板上の3C-SiCからのグラフェン形成は、6H-SiC(0001)基板上でのグラフェン化と同様であることが明らかになった。
穂積 英彬*; 小川 修一*; 吉越 章隆; 石塚 眞治*; Harries, J.; 寺岡 有殿; 高桑 雄二*
no journal, ,
Si(001)基板とエチレンの反応で3C-SiC形成を行う。これまでエチレンを暴露してから遅延時間後に3C-SiCの核が形成されること、遅延時間中はSiC合金層が表面4層程度形成されることがわかっている。本研究ではSiC核が発生するときの臨界炭素濃度を調べた。913KのSi(001)基板をエチレンに曝して、リアルタイム放射光光電子分光法でSi2p、C1s光電子ピークの時間変化を観察した。その結果、炭素濃度が15%で3C-SiC核形成が起こると結論した。
吉越 章隆; 寺岡 有殿
no journal, ,
酸素分子の並進運動エネルギーによってSi(111)-77表面への初期吸着確率が変化する原因を、吸着サイトごとの吸着確率の変化から明らかにした。最大2.3eVまでの条件に関してO 1s及びSi 2p放射光リアルタイム光電子分光観察を行い、各酸素吸着構造及びSi酸化状態の生成に対する並進運動エネルギーの役割を明らかにした。Ekによってins oxygenの生成確率が変化し、これが初期吸着確率の増減の原因であることを明らかにした。
吉越 章隆; 寺岡 有殿
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表面化学反応の選択性を実空間"その場"観察することを目的として、SPring-8のBL23SUの表面化学反応分析装置(SUREAC2000)に超高真空走査型プローブ顕微鏡(UHV-SPM)を導入し、その性能評価を行った。Si(111)-77構造が広範囲に観察できることに加えて、Siアドアトムの欠陥及び吸着物と思われる輝点が原子分解能で観測できた。放射光ビームラインにおいて原子レベルでの実空間"その場"観察が可能な性能を有することを確認した。
下山 巖; 馬場 祐治; 関口 哲弘; Uddin, M. N.*; 永野 正光*
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炭素材料へのヘテロ原子ドーピングにより形成される炭素アロイは触媒や半導体材料などの応用が期待されているが、ドーパント原子周囲の複雑な化学結合状態により構造解析は困難でドーピングと機能性との関連は十分明らかになっていない。そこでわれわれはボラジンを用いてBN共ドーピングしたグラファイトに対して吸収端近傍X線吸収微細構造(NEXAFS)の偏光依存性を調べ、ドーパント周囲の立体配置を調べた。低フルエンスで得られた試料のNEXAFSスペクトル中にはグラファイト的な大きな偏光依存性を示す*ピークと、それよりも小さい偏光依存性を持つ成分が観測された。この結果は歪んだ平面構造の立体配置を持つ局所構造の存在を示唆する。われわれは分子軌道計算を用いたクラスターの構造安定性の考察に基づいてグラファイトへのBNドーピングが5員環形成を誘起することを示し、この局所構造が5員環と6員環から形成されるフラーレンライク(FL)構造に起因することを提案する。また、FL構造とグラファイト構造の電子状態の比較から、期待される反応性の違いについても報告する。